次期iPadOSとなるiPadOS 26がWWDC25で発表されました。Appleのソフトウェアエンジニアリング担当シニアバイスプレジデントであるクレイグ・フェデリギ氏は、今回のアップデートを「iPadOS史上最大のリリース」と述べており、その操作感がmacOSにかなり近づいた点が特に注目されています。
iPadOS 26で何が変わるのか：WWDC25で発表された主な新機能
1. 美しい新デザイン「Liquid Glass」を採用
iPadOS 26では、iOS 26など他のApple OSと共通で「Liquid Glass」という新しいデザインが採用されました。これは半透明のガラスのような見た目が特徴で、コンテンツやコンテクスト、さらにはデバイスの動きに合わせて動的に変化し、光を美しく屈折させます。アプリのアイコンやホーム画面、コントロールセンターなどがこの新しいデザインになります。
2. 本格的なマルチウィンドウ機能と「Exposé」の導入
iPadOS 26で最もインパクトのある変更点が、新しいウィンドウシステムです。これにより、アプリのウィンドウ操作がMacに大きく近づきました。
- 自由なサイズ変更と移動: アプリを起動すると最初は全画面表示ですが、右下の曲線から自由にサイズを変更できるようになります。複数のアプリウィンドウを重ね合わせたり、位置を自由に移動できます。サイズや位置を変更したアプリは、再度起動した際もその状態が維持されます。
- Macライクなウィンドウコントロール: Macでおなじみの赤・黄・緑のウィンドウコントロール（閉じる、最小化、最大化）が表示され、操作が簡単になります。このコントロールから、2分割や4分割などのタイル表示への切り替えも可能です。ウィンドウを画面端に向かってフリックする操作でもタイル表示にできます。
- Exposé機能の追加: 開いているすべてのウィンドウをサムネイルで一覧表示できるExposé機能が追加されました。
- Stage Managerや外部ディスプレイとの連携: ウィンドウシステムは、Stage Managerや外部ディスプレイともスムーズに連携します。ポインタの精度と反応性も向上しています。
3. iPadアプリについに「メニューバー」が登場
MacユーザーにはおなじみのメニューバーがiPadにも追加されました。画面上部に常に表示され、スワイプやタッチパッドのカーソル操作で、アプリの機能に素早くアクセスできます。開発者もメニューバーをカスタマイズできるようになります。
4. ファイルアプリが大幅強化、Finderライクな操作感に
ファイル管理機能も大きく進化しました。
- リスト表示の改善: ファイルのリスト表示が改善され、各カラムのサイズ変更やフォルダの折りたたみが可能になり、より多くの詳細を確認できます。
- フォルダのカスタマイズ: macOS 26と同じように、フォルダを色分けしたり、絵文字やアイコンを付けてカスタマイズできるようになり、デバイス間で同期されます。
- Dockへのフォルダ配置: フォルダをファイルアプリから直接Dockにドラッグして配置できるようになり、どのアプリからでも素早くアクセスできます。
- デフォルトアプリ設定: 特定のファイルやファイルの種類を開く際のデフォルトアプリを設定できます。
- Previewアプリの導入: MacでおなじみのPreviewアプリがiPadに登場し、PDFや画像の表示、編集、Apple Pencilでのペン入れやフォームへの自動入力が簡単に行えるようになります。
5. バックグラウンドタスクとオーディオ機能の強化
より複雑な作業やクリエイティブなワークフローをサポートする機能が追加されました。
- バックグラウンドタスクの実行: ビデオ編集の最終出力やファイルアップロードなど、時間のかかる処理をバックグラウンドで実行しながら、他のアプリを利用できます。バックグラウンドでの実行状況はライブアクティビティとしてリアルタイムで確認できます。
- オーディオ機能の強化: アプリごとやウェブサイトごとに異なるマイクを選択できるようになりました。また、周囲の騒音を抑えてクリアな音声を録音できる「声を分離」機能も利用可能です。
- 高品質なオーディオ・ビデオのローカル収録: ビデオ会議アプリでの高品質なオーディオ・ビデオのローカル収録に対応し、後で簡単にファイル共有ができるようになりました。
6. Apple Intelligenceと新しいアプリ、その他の機能
Apple Intelligence（AI）の機能もiPadOS 26全体に統合され、様々な新しい体験を提供します。
- ライブ翻訳機能: メッセージ、FaceTime、電話アプリに組み込まれました。テキストの自動翻訳、FaceTimeでの翻訳ライブキャプション、電話での音声読み上げ翻訳などが可能です。
- GenmojiやImage Playground: 既存の絵文字を組み合わせたり、説明に基づいて画像を生成・編集したり、ChatGPTを活用した新しいスタイルの画像を作成したりできます。
- ショートカットの強化: ショートカットにインテリジェントなアクション（テキスト要約、画像作成など）が加わり、よりパワフルな自動化が可能になります。
- JournalアプリのiPad対応: JournalアプリがiPadに登場し、Apple Pencilを使った手書き入力や、写真、ビデオ、音声などをまとめて日記をつけることができます。
- 新しいApple Gamesアプリ: iPadでのゲームを一元管理したり、友達と繋がったり、ゲーム中に便利なオーバーレイ機能を使ったりできる新しいApple Gamesアプリが登場しました。
- 電話アプリのiPad対応: 電話アプリがiPadにも登場し、着信スクリーニングや保留アシストといった新機能が利用できます。
- Apple Pencilの新しい葦ペン: Apple Pencilのツールパレットに新しい葦ペンが追加され、伝統的なカリグラフィ体験が可能になります。
- 計算機の3Dグラフ作成機能: 計算機の計算メモに新しい3Dグラフ作成機能が追加されました。
- メモアプリの強化: メモアプリでMarkdownファイルのインポート・エクスポートや、電話会話の文字起こし付き音声録音が可能になりました。
- アクセシビリティ機能の強化: システム全体でのリーディングモードや新しい点字アクセス体験などが含まれ、アクセシビリティ機能も強化されています。
対応モデルとリリース時期
iPadOS 26は、今年の秋にすべてのユーザー向けに無料のソフトウェアアップデートとして提供される予定です。開発者ベータ版はWWDC25の発表と同時に提供開始され、パブリックベータ版は来月提供されます。
対応モデルは以下の通りです。第7世代のベースモデルiPadはサポート対象外となりました。
- 12.9インチiPad Pro（第3世代以降）
- 11インチiPad Pro（全世代）
- iPad Air（第3世代以降）
- iPad Air（M2以降）
- iPad mini（第5世代以降）
- iPad mini（A17 Pro）
- iPad（第8世代以降）
- iPad（A16）
なお、Apple Intelligenceの機能を利用するには、M1以降を搭載したiPadまたはA16/A17 Proを搭載したiPad mini（A17 Pro）などの対応デバイスが必要です。
まとめ
iPadOS 26は、新しいウィンドウシステムやメニューバー、強化されたファイル管理など、これまでのiPadの操作感を大きく変えるアップデートとなります。特にマルチタスクとファイル操作がMacライクになったことで、iPadの生産性が爆上がりすることが期待されます。ビューアやクリエイティブなツールとしての側面が強かったiPadが、今回のアップデートで本格的な「有能デバイス」へと生まれ変わろうとしています。今年の秋の正式リリースが待ちきれませんね！
