最近のパソコン、特に自作パーツやメモリの価格表を見て、言葉を失った方は多いはずです。数年前なら「型落ち」として安く手に入ったはずのパーツまでが、今や最新モデルと変わらない、あるいはそれ以上の高値で取引されています。
この異常事態の背景には、単なる円安や物価高を超えた、AI革命による「半導体生産の構造変化」があります。本稿では、最新のデータと業界発表に基づき、何が起きているのかを詳しく解説します。
1. 衝撃の「Crucial」ブランド撤退とAIシフト
2025年12月3日、メモリ業界に激震が走りました。世界最大級のメモリメーカーであるマイクロン（Micron Technology）が、29年にわたり親しまれてきた消費者向けブランド**「Crucial（クルーシャル）」の終了**を発表したのです。
マイクロンの執行副社長兼最高事業責任者であるSumit Sadana氏は、公式声明で次のように述べています。
「データセンターにおけるAI駆動の成長により、メモリとストレージの需要が急増しています。マイクロンは、より大規模な戦略的顧客への供給とサポートを改善するため、Crucialコンシューマー事業から撤退するという困難な決断を下しました」
マイクロンは2026年2月末（会計年度第2四半期末）をもって、一般消費者向けのDRAMおよびSSDの出荷を停止します。Crucialブランドは、PC自作ユーザーやラップトップのアップグレードを行う人々にとって、約30年間にわたり信頼できる選択肢でした。その消滅は、業界の構造変化を象徴する出来事です。
なぜメーカーは消費者市場を捨てるのか
答えは明確です。利益率の格差です。
Tom’s Hardwareの分析によると、コンシューマー向けメモリ製品はマイクロンのポートフォリオの中で最も利益率が低い製品群です。価格競争が激しく、プロモーション主導の不安定な小売市場で競争する必要があります。
一方、データセンターおよびエンタープライズ向け製品は、長期契約による高い平均販売価格（ASP）と、予測可能な需要パターンを持っています。AI向けのHBM（高帯域幅メモリ）は、通常のDRAMの数倍の利益率を誇ります。
実際、マイクロンは2025年第4四半期に過去最高の113億ドルの売上を記録しました。Cloud Memory事業部門は前年同期比257%増の45億ドルを達成した一方、Mobile and Client部門（Crucialを含む）はわずか2%増の38億ドルにとどまりました。
消費者向け市場の「寡占化」
マイクロンの撤退により、DRAM市場はさらに寡占化が進みます。
CRN Asiaの報道によると、グローバルDRAM製造能力の約20%を占めるマイクロンの撤退は、消費者向けメモリ供給の著しい減少を意味します。残されるのはSamsung Electronics（市場シェア約43%）とSK hynix（約35%）のみで、サードパーティブランド（Corsair、G.Skill、Kingston、ADATAなど）はこれら2社からチップを調達するために競争することになります。
2. DDR5の不足が引き起こす「DDR4」への負の連鎖
「新しいDDR5が高いなら、古いDDR4で我慢すればいい」——。
かつてはそれが通用しましたが、今はその逃げ道すら塞がれつつあります。
驚異的な価格上昇の実態
Resell Calendarの最新レポート（2025年12月）によると、DDR5チップのスポット価格は以下のように推移しています。
| 時期 | 16Gb DDR5チップ平均価格 |
|---|---|
| 2025年9月20日 | 6.84ドル |
| 2025年11月19日 | 24.83ドル |
| 2025年12月時点 | 27.20ドル（取引高値は37ドル） |
わずか2ヶ月半で約400%の上昇です。Tom’s Hardwareの調査では、DRAM価格は前年同期比171%上昇し、金の価格上昇率を上回っています。
小売レベルでも状況は深刻です。PC Gamerの報道によると、Corsair Vengeance DDR5-6000 32GBキットは2025年前半には約95ドルで安定していましたが、12月には184ドルに上昇（94%増）し、現在は完売状態です。
DDR4も逃げ場ではない
驚くべきことに、旧規格のDDR4も同様に高騰しています。
Tom’s Guideの報道によると、SamsungはDDR5の契約価格を19.50ドルに引き上げ（年初は約7ドル）、DDR4の価格も18ドルまで上昇させました。つまり、旧規格のDDR4が最新のDDR5とほぼ同価格という異常事態が起きているのです。
PC Gamerによると、Corsair Vengeance DDR4-3600 32GBキットは年間を通じて約70ドルで安定していましたが、現在は161ドルまで上昇（115%増）しています。
なぜDDR4まで高騰しているのでしょうか。The Memory Guy Blogの分析によると、主な要因は2つあります。
第一に、Samsung、SK hynix、Micronの大手3社はすでにDDR4の生産ラインを縮小・閉鎖しており、供給が追いつかなくなっています。より利益率の高いHBMおよびDDR5に生産能力をシフトしているためです。
第二に、中国のDRAMメーカーCXMT（ChangXin Memory Technologies）が政府の指示により、2024年第4四半期から急速にDDR4からDDR5への生産転換を行いました。CXMTは一時期、DDR4市場に参入して価格を押し下げていましたが、その撤退により供給が激減しました。
在庫水準の危機的低下
TrendForceのデータによると、DRAMの平均在庫水準は劇的に低下しています。
| 時期 | DRAM平均在庫 |
|---|---|
| 2024年末 | 13〜17週間分 |
| 2025年7月 | 3〜8週間分 |
| 2025年10月 | 2〜4週間分 |
ある半導体業界幹部はReutersの取材に対し、「この不足は今後のデータセンタープロジェクトを遅延させる可能性がある」と警告しています。
3. HBMという「巨大な胃袋」の正体
なぜこれほどまでにメモリが不足しているのでしょうか。その核心にあるのが、AI用途に特化した**「HBM（High Bandwidth Memory：高帯域幅メモリ）」**の存在です。
HBMとは何か
HBMは、複数のDRAMダイを垂直に積層し、TSV（Through-Silicon Via：シリコン貫通ビア）で接続する3D構造のメモリです。通常のDRAMと比較して、帯域幅が圧倒的に高く（現行のHBM3Eで最大1,280GB/秒）、AIチップのすぐ隣に配置されるため、大規模言語モデル（LLM）の推論や学習に不可欠となっています。
NVIDIAのH100やA100、AMDのMI300シリーズなど、主要なAIアクセラレータはすべてHBMを搭載しています。
HBMの「ウエハ消費量」問題
ここに根本的な問題があります。
Tom’s Hardwareの分析によると、HBMを1GB製造するには、DDR5の約3倍のウエハ（原材料となるシリコン基板）を消費します。これはTSVプロセスやウエハの薄膜化による歩留まり低下、そして高度なパッケージングラインの世界的な不足が原因です。
つまり、メーカーがHBMの生産を増やせば増やすほど、通常のDRAM（DDR4、DDR5）の生産に回せるウエハが物理的に減少するのです。
OpenAI「Stargate」プロジェクトの衝撃
Resell Calendarの報道によると、OpenAIのStargateプロジェクトは、SamsungおよびSK hynixと月間最大90万枚のDRAMウエハの供給契約を結んだとされています。これは**世界のDRAM総生産量の約40%**に相当します。
Microsoft、Amazon、Meta、NVIDIAもすべて、同様に大規模なAIインフラ構築のためにHBMを必要としており、これらの契約はすでに2027年分まで確保されている状況です。
4. SSD（NANDフラッシュ）も「全部」値上がりする理由
ストレージであるSSDも、この嵐から逃れることはできません。
NANDフラッシュ価格の急騰
KingstonのデータセンターSSD事業マネージャーであるCameron Crandall氏は、The Full Nerd Networkポッドキャストで衝撃的な数字を明らかにしました。
「2025年第1四半期と比較して、NANDの価格は246%上昇しています。そのうち70%はこの60日間で発生しました」
NANDフラッシュはSSDの部品コストの約90%を占めるため、この上昇は消費者向けSSD価格に直接的かつ不可避的な影響を与えます。
PhisonCEOの証言
NANDフラッシュコントローラー大手PhisonのCEO、Khein-Seng Pua氏はDigitimesの取材に対し、さらに厳しい見通しを示しています。
「NANDの価格はこの6ヶ月で2倍以上になりました。すべてのNANDメーカーが、2026年の生産能力は完売だと伝えてきています」
同氏によると、新しい生産ラインが需要に追いつくのは2027年後半以降になる見込みです。
TrendForceの分析
TrendForceの2025年11月レポートによると、NANDフラッシュウエハの供給は急速に逼迫しており、11月の契約価格は製品カテゴリーによって20%〜60%以上上昇しました。特に1Tb TLC（企業向けSSDで主に使用）は最も深刻な不足に見舞われ、512Gb TLCは65%以上の月次上昇を記録しました。
5. PCメーカーへの波及と価格転嫁
メモリ価格の高騰は、すでにPC価格に波及し始めています。
主要メーカーの動き
CyberPowerPC（北米最大級のシステムビルダー）は2025年11月、契約DRAM価格が10月初旬から500%急騰したと警告しました。
Framework（モジュラー型ラップトップメーカー）は、DDR5メモリのアップグレード価格を50%引き上げ、「さらなる価格更新の可能性が高い」と警告しています。
Dell、Lenovo、HPなどの大手は、2026年初頭に15〜30%のPC価格引き上げを予告しています。PC Gamerによると、Dellは最大30%の値上げを準備しており、「メモリ価格は我々のコントロール外」と説明しています。
マザーボード販売への影響
Resell Calendarによると、マザーボードの売上は前年同期比で40〜50%減少しています。DDR4からDDR5へのアップグレードに400〜750ドルのメモリ費用が必要となるため、多くの人がPC構築を延期またはキャンセルしているためです。
また、Circanaの調査によると、2025年11月は1995年以来最悪のハードウェア販売月となりました。
6. Appleユーザーも他人事ではない
「自分はMacユーザーだから関係ない」——そう思っている方もいるかもしれません。しかし、Appleもこの嵐から完全に逃れることはできません。
Appleの長期契約が2026年1月に期限切れ
Tom’s Guideの報道によると、AppleがSamsungおよびSK hynixと結んでいるDRAM長期供給契約（LTA）が2026年1月に期限切れを迎えます。これにより、新たな契約交渉では大幅に値上がりしたメモリ価格が反映されることになります。
分析家のJukan氏はXで、「SamsungとSK hynixは、来年1月からApple向けのメモリ価格を引き上げる計画だ」と投稿しています。
現行製品は安全、2026年発売製品に影響か
現在販売中のiPhone 17シリーズ、M5 MacBook Pro、M5 iPad Proなどは、契約期限前に製造された在庫があるため、当面は価格据え置きで購入できる可能性が高いです。
しかし、2026年に発売予定の製品——例えばiPhone 18シリーズ、M5 MacBook Air、M6 MacBook Pro、噂のiPhone Fold——は、新しい契約価格が製造コストに反映されるため、値上げの可能性があります。
Appleの強みと弱み
強み：Counterpoint Researchの分析によると、AppleはDRAM価格高騰を乗り切る上で最も有利な立場にあります。
- 自社設計チップ（Mシリーズ、Aシリーズ）による製造コストの最適化
- 潤沢な現金準備（数千億ドル規模）
- 高い製品利益率（価格転嫁せずに吸収できる余地）
弱み：一方で、Macworld誌が指摘するように、Appleは利益率を守ることに非常に敏感です。株主価値が下がれば、価格引き上げに踏み切る可能性は十分にあります。
また、FrameworkのCEOは、AppleやDellがメモリアップグレードで高額な価格設定を行っていることを批判しています。Appleは以前から16GBへのアップグレードに400ドル（約6万円）を請求しており、メモリ不足以前から「高すぎる」との声がありました。今後さらに上がる可能性があります。
スマートフォン市場全体への影響
Counterpoint Researchの最新予測によると、2026年のグローバルスマートフォン出荷台数は当初予測から下方修正され、前年比約2%減が見込まれています。
特に影響を受けるのは、利益率の薄い中国ブランド（OPPO、Vivo、Honorなど）のエントリー〜ミドルレンジ製品です。200ドル以下の低価格帯では、製造コストが20〜30%上昇しており、価格転嫁やスペックダウン（メモリ容量削減）が避けられない状況です。
TrendForceによると、2026年以降、エントリー向けスマートフォンのメモリは4GBに削減、ミドルレンジも12GB→8GB・6GBへの引き下げが予想されています。
7. 日本市場の異常事態：秋葉原で購入制限、マウスが「今すぐ買え」
海外の話だけではありません。日本市場でもすでに深刻な影響が出ています。
秋葉原PCパーツ市場の混乱
PC Watchの報道によると、2025年12月現在、日本のPCパーツ市場で最大の話題は「メモリとストレージの高騰」です。
秋葉原の複数のショップやメーカー、代理店関係者によると、DDR5メモリの価格は2025年9月と比較して製品によって2倍から3倍以上に達しています。高クロック・大容量モデルに至っては在庫が逼迫しており、メーカーや代理店に発注をかけても納品が大幅に遅れたり、キャンセルされたりしている状況です。
エルミタージュ秋葉原の報道によると、具体例として、10月1日時点で約14,700円だった某ブランドのDDR5-5600 16GB×2枚セットは、11月2日現在で約32,700円前後（約2.2倍）まで値上がりしています。ショップ関係者は「代理店の仕切り価格は、8月末の最安値から3〜4倍の水準になっている。それでも注文を受けてくれないほどの品薄状況だ」と話しています。
購入制限と「まとめ買い」の横行
パソコンSHOPアークでは2025年11月1日から、メモリ、SSD、HDDの購入制限を開始しました。
購入制限を設けていない大手パーツショップでは、10〜20枚単位のまとめ買いが頻発。さらに中古ショップのメモリコーナーでは、50枚近く入った箱ごと購入を希望するケースが続出し、すでに店頭の在庫がなくなり始めています。
秋葉原のオーバークロック専門店「OVERCLOCK WORKS」のブログでは、「高クロック・大容量モデルは、製造難度が高く供給数も限られるため、一般向けモデルよりも価格の変動幅が大きい」と警告しています。
国内PCメーカーの警告
マウスコンピューターは2025年12月10日、公式X（旧Twitter）アカウントで異例の呼びかけを行いました。
「悪いことは言いません、なるべくお早めの購入をオススメします！！本当に！！」
マイナビニュースの取材によると、マウスコンピューター新宿ダイレクトショップの宮崎店長は、「年末にかけてのボーナスセールの計画があったことから、事前に仕込みを増やしていたため、現時点では『モノが無い』までの混乱には至っていない」としながらも、「直近、動きが早くなっていることは確か」と話しています。
同店では年内いっぱいは仕入れ済みの在庫がある限り価格据え置きで販売する方針ですが、2026年1月以降は製品価格への転嫁が見込まれています。
また、BTOパソコンを展開するサイコムは、想定を上回る注文の増加により、一部製品で受注を一時停止する事態となっています。
ゲーム機への波及リスク
Yahoo!ニュースの専門家記事によると、PS5やNintendo Switch 2にもメモリ高騰の影響が及ぶ可能性があります。
現代のゲーム機には、DRAMやSSDといったPCと共通のパーツが使われています。PS5やXbox Series X|Sで使われるGDDR6、Switch 2で使われる可能性があるLPDDR5Xは、いずれもHBMと同じ生産ラインで製造されているため、生産能力の奪い合いが発生します。
任天堂は「さまざまな部材の価格が上昇していることは認識している」として、将来的な値上げの含みを持たせています。日本語版PS5が税込5万5000円を維持し続けるのも、長期的には厳しい可能性があります。
8. 今後の見通し：いつ収まるのか
残念ながら、短期的な改善は期待できません。複数の業界分析を総合すると、以下のような見通しが浮かび上がります。
2026年前半：さらなる悪化
TeamGroupのゼネラルマネージャー、Gerry Chen氏はDigiTimesの取材に対し、「DRAMとNANDの可用性は2026年第1四半期〜第2四半期にかけてさらに悪化する見込み」と述べています。流通在庫が枯渇した時点で、「支払い意思に関係なく、割り当てを確保することが困難になる」と警告しています。
商業時報（Commercial Times）の報道によると、業界関係者は「NANDの在庫は2026年第1四半期までしか持たず、早ければ3月には在庫切れになる」と見ています。2026年第2四半期には「出荷する在庫がない」状態に陥る可能性があります。
新工場稼働は2027年以降
Tom’s Hardwareの分析によると、主要メーカーは新工場への投資を行っていますが、生産開始までには時間がかかります。
Micron：日本・広島のHBM工場（96億ドル投資）は2026年5月頃に着工予定、生産開始は2028年。アイダホ州の2工場のうち最初の1つは2027年半ばに生産開始予定。ニューヨーク州の工場は2030年頃の生産開始。
Samsung：韓国・平澤およびテキサス州テイラーに数十億ドルを投資中。ただし経営陣は2027年まではHBMとハイマージンのエンタープライズDRAMを優先すると明言。
SK hynix：韓国・利川および清州での拡張は2026〜2027年に新DRAMラインを稼働予定。
SK hynixの内部分析がリークしたところによると、PC向けDRAM供給が需要に追いつくのは少なくとも2028年後半まで見込めないとされています。
メーカーの慎重姿勢
Tom’s Hardwareの報道によると、Samsung、SK hynix、Micronの大手3社は2025年に合計540億ドルの設備投資を予定していますが、これはHBMモジュールの性能向上に焦点を当てており、メモリチップの総ビット出力を増加させるものではありません。
なぜメーカーは増産に慎重なのでしょうか。半導体産業の自然なサイクル的変動に加え、「AIバブル」の懸念があります。もしAI需要が減速すれば、大量の在庫を抱えることになりかねません。新しい製造施設の建設には数年かかり、設備の回収には7〜10年かかるため、慎重にならざるを得ないのです。
専門家の見解
Silicon MotionのCEO、Wallace C. Kou氏は決算発表で衝撃的なコメントを残しています。
「私たちは今まで経験したことのない事態に直面しています。HDD、DRAM、HBM、NAND… すべてが2026年に深刻な不足に陥ります」
また、TeamGroupのChen氏は、現在の不足が2027年後半以降まで続く可能性があり、それ以降も長引く可能性があると予測しています。
楽観的シナリオと悲観的シナリオ
楽観的シナリオ（2026年後半〜2027年）：新しい製造能力が徐々に立ち上がり、DDR5生産が効率化され、中国サプライヤーの貢献も増加。二重・三重注文の整理が進み、価格上昇は止まり、緩やかな下落に転じる可能性。
悲観的シナリオ：TechInsightsは2027年の半導体産業下降を予測しており、その場合、2026〜2027年頃から価格は下落し始める可能性がありますが、それは「供給過剰」による急激な価格崩壊を伴う可能性もあります。過去のメモリ「スーパーサイクル」（2017〜2018年のブーム）は、供給過剰に達してから約2年以内に急激な価格崩壊に見舞われました。
私たちが今、目の当たりにしているのは、一過性の値上がりではありません。世界中のコンピューティングリソースがAIという一点に集中したことで起きた、**「一般ユーザーの置き去り」**です。
Crucialという信頼できるブランドが市場から消え、DDR5もDDR4も「時価」のような価格で取引される。パソコンは今、かつての「手軽な家電」から、手に入れるために多額の投資が必要な「戦略物資」へと変わりつつあります。
KingstonのCrandall氏は、消費者へのアドバイスとして次のように述べています。
「システムのアップグレードを考えているなら、今すぐ行動することをお勧めします。待たないでください。価格は上がり続けます。30日後にはもっと高くなり、その30日後にはさらに高くなる可能性が高いです」
これからパソコンを新調するなら、この「AI増税」とも言える厳しい現実を前提に、極めてシビアな予算管理が求められることになるでしょう。
本稿で引用したデータおよび発言は、以下の情報源に基づいています：Micron Technology公式発表（2025年12月3日）、Tom’s Hardware、Tom’s Guide、TrendForce、PC Gamer、CNBC、Reuters、CRN Asia、DigiTimes、The Full Nerd Networkポッドキャスト、Resell Calendar、IDC、The Memory Guy Blog、Macworld、MacRumors、AppleInsider、Counterpoint Research、PC Watch、GIGAZINE、エルミタージュ秋葉原、マイナビニュース、ITmedia、Yahoo!ニュース、OVERCLOCK WORKS、その他。
